不良老人とその予備軍のための読書案内 その2『へろへろ 雑誌『ヨレヨレ』と宅老所「よりあい」の人々』

局員Mです。
只今天才バカボンのパパの年齢、41歳の春も過ぎ去り、もうすぐ彼の歳を追い越してしまうことに焦りを感じる今日この頃(冷たい目で見ないで)

子どもの時から過剰な自意識を持て余し、幼稚園時代には玩具屋の店員に子ども扱いされたことに気を悪くし、近頃では通りすがりの子どもに「おばちゃん」と呼びかけられて憤慨し、つまりはこの先、老人扱いされたりすることに耐えられるはずもないというややこしい身の上でございます。

ゆかい痛快くらくない 「宅老所よりあい」のおもしろい雑誌『ヨレヨレ』

最近とみによく見かけますところの「いきいき」とか「ゆうゆう」とか、いかにも「老後」にくっつけられそうな、あたりさわりがなさそうでかえって気に触る形容詞に「ケッ」と唾を吐きかけたくなるのは、罰当たりかもしれませんがしかし私だけではありますまい。

そこにきて『ヨレヨレ』で、『へろへろ』であります。なんのこっちゃ?と思われるかもしれませんが、このミもフタもない擬音語四文字は福岡の老人介護施設から発行された雑誌のタイトルと、その顛末が書かれた本のタイトルであります。

一人の困ったお年寄りから始まる。一人の困ったお年寄りから始める。

コチユカ読者のみなさまの中には、既にお聞き及びの方も多いかもしれません、その介護施設の名前は「宅老所 よりあい」。とある博多のおばちゃん(とあえて書かせていただきます)が寺の一室ではじめたデイサービスがそもそものはじまりであったこの施設の成り立ちの模様は、「よりあい」が発行していた雑誌『ヨレヨレ』でドラマチックにかつ抱腹絶頭に絵描かれました。

この雑誌の発行は惜しまれつつ終了しましたが、昨年の12月、『ヨレヨレ』編集長だった鹿子さんが「よりあい」と『ヨレヨレ』の顛末について書かれた本が出版されました。その名も『へろへろ』。

登場人物がみんな必死。そしてヨレヨレでヘロヘロ。なのにみんな楽しそうなのはなぜか。中でも「よりあい」創始者の恵美子さんから繰り出される博多弁の台詞の数々は思わず声に出して読みたくなる痛快さであります。

あるとき、ひとりのおばあさんの受け入れ先を探しまわったあげく、どこからも断られ、憤慨した恵美子さんは
「けっ、ばあさま一人の面倒もみきらんで、なんが福祉か!なんが介護か!なんが専門職か!バカにしくさって!」と毒づき、さらには

「ああ、もうわかった、もう誰にもたのみゃせん!自分たちでその場っちゅうやつを作ったらよかっちゃろうもん。」

と、息巻くや、紆余迂説20年余、有言実行総工費約3億円!見る間にまわりの人を巻き込み、とうとうほんとうに作っちゃったという訳で、その途方も無い挑戦と奮闘の様子はまさに一大スペクタクル。
介護にも福祉にも興味がない、という人であろうとなかろうと、一気に読めてしまうこと必至の話題作なのです。

 根拠なんか別にない。
 ただ、やれるという気持ちがあるだけだ。
 新しいことはいつだって、無謀で無計画で、
 前例がなくて保障がないところからしか産まれて来ないのだ。
『へろへろ 〜雑誌『ヨレヨレ』と「宅老所よりあい」のひとびと〜』
鹿子裕文 ナナロク社 より

上の四行について、不肖私もムチウチになりそうな勢いではげしく頷くしかありません。
しばらく見ないので忘れそうになっていたけれど、たぶんこういうものを

「希望」というんだったんだような気がする。

【外部リンク】宅老所・よりあいのホームページ
http://yoriainomori.com/